タバコは、一般的に知られているように、胃がんや肺がん、食道がん、喉頭がんなどを引き起こす原因となります。
また慢性気管支炎、肺気腫などの慢性呼吸器疾患や狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、不整脈といった循環器疾患を引き起こす要因ともなります。
さらに同居するご家族にも病気を引き起こします(子どもの喘息・気管支炎・中耳炎・奥さまの肺がんなど)。
しかしタバコは、ニコチンの作用による脳や身体への快感(身体的依存)だけでなく、ほっとする、間がもつ、すっきりするといった気持ちの上での依存(心理的依存)が重なっているため、ご自身の意思の力だけではなかなか止めることができません。
そこで、当院では、ニコチンが脳神経に作用するのを止めて中毒症状を緩和する飲むお薬(チャンピックス)やかかりつけ医としての生活指導などにより、禁煙のお手伝いをしております。
禁煙治療は、2006年より健康保険等が適用され、患者様の負担も軽くなりました。その上で、禁煙治療を健康保険等で受けるためには一定の要件があり、1回目の診察で医師が確認することとなっています。尚、要件を満たさない場合でも、自由診療で禁煙治療を受けることができますので、まずは受診の前にご自身でチェックしてみることをおすすめします。
健康保険等で禁煙治療を受けるための要件
- ニコチン依存性を診断するテスト(TDS)で5点以上
- 1日の喫煙本数×喫煙年数が200以上
例えば、25歳から1日15本喫煙している45歳の人なら、15(本)×20(年)=300であり、対象となります。 - すぐに禁煙をしたいと考えていること
- 医師から受けた禁煙治療の説明に同意 説明内容に納得されたときは、文書で同意します(サイン等)。
ニコチン依存性を診断するテスト(TDS)
はい 1点 いいえ 0点 5点以上はニコチン依存症です。
- 自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか。
- 禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか。
- 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、タバコがほしくてほしくてたまらなくなることがありましたか。
- 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、次のどれかがありましたか。(イライラ、神経質、落ち着かない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加)
- 上記でうかがった症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか。
- 重い病気にかかったときに、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか。
- タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか。
- タバコのために自分に精神的問題(注)が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか。
- 自分はタバコに依存していると感じることがありましたか。
- タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度かありましたか。
(注) 禁煙や本数を減らしたときに出現する離脱症状(いわゆる禁断症状)ではなく、喫煙することによって神経質になったり、不安や抑うつなどの症状が出現している状態。
健康保険等による禁煙治療のスケジュール
標準的な禁煙治療のスケジュールは、12週間にわたり合計5回の診察が行われます。
診察時には、毎回息に含まれる一酸化炭素の濃度を測定します。一酸化炭素は、タバコの煙に含まれる代表的な有害物質であり、禁煙を始めることにより、この値が低下します。
数値として目に見える形で改善されていくことが励みとなったり、次回の測定が楽しみなる患者様も多いようです。
また、禁煙を継続するためのアドバイスや禁煙補助薬の処方を受けることができるため、禁煙は成功しやすくなります。
チャンピックスを使用した禁煙治療の費用(一例)
健康保険等による診療の場合、チャンピックスを使用した禁煙治療における患者様の自己負担額は、1万9千円程度となります。
自己負担額(3割負担として)
初診料+再診料+ニコチン依存症管理料+ 院外処方せん料 —— 5,960円
調剤料+チャンピックス ———13,090円
合計 19,050円